2012年8月14日
第58回篁風会演奏会
鈴木 隆童
第58回篁風会演奏会(発表会)が、8月5日厚木市文化会館5階(もみじ・ゆりの間)に於いて、
生田流筝曲 佐藤紀久子先生ご社中、山田流筝曲 木本照光先生ご社中、会主代理 大野恭童
(会主 月野木精童)氏の本で実施された。
大曲、難曲を見事に演奏している大先輩方の姿を拝見・拝聴させていただき、また、三曲合奏の素晴らしさを勉強させて頂いた。
演奏曲目は、「千鳥の曲」「磯千鳥」「竹生島」「七小町」「那須野」「尾上の松」「俊寛曲」「春の曲」
「さらし」「夕顔」「松づくし」「楫枕」「秋の曲」「里の春」「松風」「千代の鶯」「四季の段」以上である。
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【磯千鳥について】
《うたた寝の、枕に響く暁の鐘実に儘ならぬ世の中を、何にたとえ
ん飛鳥川。昨日の渕は今日の瀬と。かはりやすきを変えるなと、
契りしこともいつしかに、身は浮舟の楫を絶え、今は寄る辺もしら
波や。竿の雫か涙の雨か、濡れにぞぬれし濡れ衣、身に沁む今
朝の浦風を侘びつつや鳴く磯千鳥。》
『曲の大意は、旧幕時代、京都の某公卿家族のたいそう美しい姫君が、百万長者の某呉服商の息子から嫁に請われ華燭の典が挙げられた。黄金と地位のとの結婚で、新郎の一族あげての喜びであった。苦労知らずに育った金持ち息子は、やがて金で女色ふける行為が始まった。毎夜の遊里遊びの外泊、朝帰りをやるせない思いに眠れない夜を幾夜か過ごし、胸を痛める身となり、夫を恨み、恋のはかなさを嘆く妻となった。その哀れな心情をうたったのがこの歌であるといわれている。歌の文句の終わりのお磯の姫君を意味する磯千鳥からつけられたものである。』
= 文学博士 今井道郎著 「山田生田両流箏唄全解」による。 =
【俊寛曲について】
〔前弾〕
《鹿ケ谷の錦のとばりやれ果てて、紅葉散りしく茜の海、波あらましき海中に、星の光もものすごき、鳥山蔭の一つ庵、沖の千鳥は暁の夢路辱ねく通ふのみ、月も出しほのやほあひに、ぐせいの舟の御迎ひ。》
『明治34年、初世萩岡松韻作曲、日下靜子作詞。作詞者日下靜子は、天保の改革で名を馳せた老中水野越前守の孫娘、明治33年没す。歌詞は、鹿ケ谷で平家討伐の密議したことが露見し、鬼界ガ島に流された俊寛僧都の悲哀をうたったもの。原典は「平家物語」からなる。』
= 「山田流萩岡派歌曲選 歌傳承 四代萩岡松韻集」による =
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磯千鳥
箏三絃 佐藤紀久子社中
尺八 大野恭童 |
俊寛曲
箏 木本照光社中
尺八 宗形幸童
鈴木隆童 |
那須野
箏 木本照光社中
尺八 南部哲男 |
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さらし
箏 木本照光社中
尺八 高橋澄童 |
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尾上の松
箏・三絃 佐藤紀久子社中
尺八 小森周童 |
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千代の鶯
箏・三絃 佐藤紀久子社中
尺八 畑中晟童
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楫 枕
箏・三絃 佐藤紀久子社中
尺八 村瀬剛童 |
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